文字
背景
行間
校長日誌 錦町の空から NO543 (2018.12.4)
全校朝会校長講話
昨日月曜日の校長講話です。
おはようございます。今日のお話の主役は、内藤大助さんです。内藤大助さんは、元ボクシングの世界チャンピオンです。
世界チャンピオンですから、世界で一番強いのですが、実は、中学生の時は、いじめられていたそうです。
内藤さんは、子供の頃、ひどく貧乏だったそうです。家はぼろぼろ。お父さんはいなくて、お母さんだけ。貧乏だったので、何も買ってもらえなかったそうです。
中学生のときにいじめられたそうです。その内藤さんは身長が140cm。いじめていた相手は、身長が170cm。バカにされて、笑いものにされて、使いっ走りをさせられていたそうです。でも、抵抗はしないで、いじめられないようにいじめっ子のご機嫌を取って学校生活をしていたそうです。
あるとき、おなかが痛くて、病院に行ったら、胃潰瘍と言われたそうです。胃潰瘍って、胃がひどく傷ついてしまった状態ですね。中学校3年生になって、さらにいじめはひどくなりました。内藤さんは、「もう、限界だ」と思ったそうです。そして、カラスやスズメ、虫でもいい、人間以外のものになりたかったそうです。もちろん、学校に行きたくなかったそうです。
そんなとき、担任の先生、佐々木先生という先生が内藤さんの様子がおかしいことに気づいてくれました。佐々木先生は、ふだんは生徒との距離が近くて、人気のある先生で、ソフトな先生。その佐々木先生がクラスで、こう言ったそうです。
「最近、誰かが、誰かをからかっている。特定の人に、ひどいことをしている。誰がやっているか、思い当たる人は手をあげろ!」
普段優しい先生が怒ると、迫力あったでしょうね。
先生が怒っていることはわかって、誰も答えなかったそうです。すると先生は、大声でいじめっ子の名前を呼んだそうです。
「おい、○○。おまえのことを言ってんだよ!!」
教室は、シーンとなりました。内藤さんは、ビックリしたそうです。そして、すごいと思いました。なんでかというと、「こんな大人もいるんだ」と思ったからです。
佐々木先生が大声で叫んでから、内藤さんへのイジメはおさまったそうです。このことをきっかけに、内藤さんは、ボクシングを始めました。いじめっ子に仕返しするためじゃなくて、自分の身を守るため。いじめっ子パンチを打つのではなく、相手のパンチをよけるため。
ところが、不思議なことが起きたそうです。ボクシングを始めて、強くなると、いじめっ子に返そうという気持がなくなったんです。
こうして、内藤さんは、いじめから救われました。
内藤さんは強くなって、日本チャンピオンになってから、佐々木先生にこう言ったそうです。
「先生のひとことで、救われたんです。」
先生は、変わらぬ優しい笑顔で、小さくうなずいてくれたそうです。
さて、皆さん、聞いていてどうでしたか?ひどいいじめでしたね。いじめっ子たち、本当に許せないですね。佐々木先生が気付いてくれて良かった。
ただ、校長先生は、佐々木先生のやり方はどうだったのかな、と思います。いじめっ子の名前を呼んで、叱ったのですが、もしいじめが収まらなかったら、かえってひどいいじめになっていたかもしれません。じゃあ、どうすれば良かったのか。まず、いじめられている子がいたら、一番わかるのは、周りの子です。周りの子がいじめを止めることです。このことは前に話しました。
次に、先生が一人ではなく、先生方が力を合わせていじめを止めることです。もちろん、校長先生も登場します。内藤さんのようにいじめがひどい場合には、警察も必要ですね。
最後に、いじめられている子のおうちの人やいじめている人のおうちの人にも集まってもらうことです。
とはいっても、校長先生は佐々木先生はステキな先生だと思います。なぜなら、「いじめは絶対に許さない」という強い気持ちをもっていたからです。「いじめは絶対ダメ」という気持ちは、三小の先生方も佐々木先生に負けないくらい強いです。きっと、三小の皆さんも、「いじめは絶対にダメ」と思ってくれていると思います。
みんなでいじめのない三小にしていきましょう。
いじめ講話は、これで2学期に3回行いました。しつこいようですが、これくらいやった方が子供たちの印象に残ると思っています。