柏小学校からのお知らせ

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校長先生の話「一人ではない」

 柏小学校の児童のみなさんへ

『一人ではない』
 
 東京オリンピックの聖火採火式が4月12日、古代オリンピック発祥の地ギリシャ・オリンピア遺跡のヘラ神殿前で行われました。新型コロナウイルスの感染拡大を受け一般非公開で、太陽光線を凹面鏡に集める伝統的手法で聖火がともされました。

 採火式には、2004年アテネ大会女子マラソン金の野口みずきさんが第2走者として200メートル走りました。五輪のマラソンで日本が表彰台に立ったのは、男女を通じてアテネ大会の野口さんが最後なのです。東京オリンピックでの日本選手の活躍に期待したいですね。

 今日は、女子マラソン金メダリスト野口みずきさんの話をします。野口みずきさんは、身長150㎝、体重40㎏という小柄なマラソンランナーです。6年生よりも小さいかもしれませんね。その人が世界で一番速いマラソンランナーになれたのはなぜなのでしょう。野口さんが「アテネオリンピックのマラソン競技で金メダルをとる」という目標をはっきりもったのは、シドニーオリンピックの女子マラソンの高橋尚子選手の金メダルのゴールを見たときだそうです。当時は、まだ、マラソンを走ることのなかった野口さんでしたが大観衆の待っているスタジアムに一番最初に戻ってきて、ゴールテープを切った高橋尚子選手を見て、「いつか自分も絶対こうなりたい。」と強く思ったそうです。

 しかし、アテネへの道は決して楽なものではなかったのです。希望をもって入社した会社は、事情によって退社、辞めなくてはならなくなったのです。収入、お金を稼ぐことができないのです。練習する場所もありません。もし、みなさんだったらどうしますか。マラソンを続けることができますか。

 野口さんは、くじけませんでした。一緒に会社を辞めた仲間と共に職業安定所(仕事を探すために通う所)に通いながら練習をしたのです。野口さんを指導している監督は、野口さんについて次のように話しています。「社会人のチームに入る時は、下から2番目の評価だった。丸々と太っていた。」そんな野口さんが世界の頂点に立つことができたのは、困難にくじけることなく、前向きに生活できる精神力をもっていたからだと先生は思います。

 野口さんは、マラソンに取り組む中で感じることがあるそうです。それは、「マラソンは一人で走っているけど、一人では何もできない。」ということだそうです。練習メニューを作ってくれる監督。一緒に走ってくれるコーチ。体の体調をしてくれるトレーナー。そのほかにもたくさんの人々が関わっています。「自分自身が多くの人に支えられて、競技をすることができるんだ。」ということに感謝をしているそうです。

 みなさんも自分の身の回りをじっくり見つめてみてください。きっと自分を支えている人の多さに驚くと思います。お父さん、お母さん、先生、友達などまだまだたくさんいます。その一人一人に感謝の気持ちがもてると素晴らしいと思います。自分を支えてくれている人の一人なのだと考えると相手に対する接し方も考えていかなくてはならないでしょう。

 今日は、「人間、一人ではない」ということについて話をしました。